本当に愛おしい君の唇
 さすがに今日はお互い仕事があるので、これからホテルをチェックアウトしたら、勤務先へと向かう。


 確かに疲れるのだ。
 

 治登は毎日淡々と書類に目を通し、合間にパソコンで資料を作る。


 直美はOLなので、雑用に追われるようだ。


 つまり互いに暇がないということである。


 本来なら会社などでもお昼に食事を取り終わってから、休憩時間があるのだが、ルーデルも直美の勤務する会社も休みの時間は極力短縮されていた。


 どこの会社でも人件費の圧縮に全力を注いでいる。


 人を雇えば金が掛かってしまう――、この当たり前のことが今のどういった会社でも同じなのだった。


 そういえば、古賀原や石松、西などを事実上追放してしまってから、だいぶ社の雰囲気はよくなっていた。


 やはりあいつらは要らない人間たちだったと治登は痛感している。


 そして今日の夜は仕事が終われば、自宅マンションに帰らないといけない。
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