本当に愛おしい君の唇
 だが、さすがに義弟が危険な賭けに出ているのだけは分かっていた。


 伸(の)るか反(そ)るかというところだろう。


 大所帯ほど上手くいかないところはない。


 それは治登が小さいながらも今のルーデルを興して、少人数で経営しているので、分かるのだ。


 会社自体を大きくしようとは思ってない。


 ただ、各地に支社を持っているので、そこで働く人間たちの生活だけは最低限守る必要があるのだ。


 これはどんな企業体だろうと関係ないのだった。


 そして思うのが、義弟で三人の子供を抱える和弘の意中だ。


 一体どうやって会社を経営し続けるのか、治登には見当が付かない。


 それにそもそも治登自体、建設業界の実態を詳しくは知らない。
 

 今、その手の業界で最先端を行っている企業のことは新聞やビジネス誌、ネットなどで知るしか方法がないのだ。

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