本当に愛おしい君の唇
「ええ」


 直美がリビングのテーブルへと移動する。


 天井灯を灯(とも)し、皿の上にあるピーナッツを齧り始めた。


 治登も、彼の前に座っている直美もお摘みを食べながら、ゆっくりしていた。


 シャワーだけでも十分なぐらい、バスルームは蒸し暑い。


 夕方の街はどうしても熱が留まってしまうのだろう。


 滞留していた熱が辺りに漂っていて、互いに汗を掻く。


 治登はバスローブを脱いで、シャツ一枚になる。


 直美も同様に振舞った。


 お互いシャツ一枚になれば、暑さも凌げる。


 そのままバスルームへと向かう手筈でいた。


 溜まっていた疲労は風呂場で癒すのが一番だからだ。


 入浴して汗や脂を洗い流してしまうと、また気持ちが切り替わる。
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