本当に愛おしい君の唇
 治登も直美も風呂上りに洗い髪をタオルで拭き、互いの体のボディーソープの残り香を嗅ぎ取ると、思わず照れてしまう。


 だが、お互い普段から会えないときも結構ある。


 そういったときは遠慮なしに電話したり、メールし合ったりしていた。


 同じ太陽の下で生活していて、恋人同士なのだから、下手に気を回すことはないのだ。


 二人ともそういったことは十分分かっている。


 そして治登が髪を拭きながらケータイを弄っていると、直美が、


「何か見てるの?」


 と訊いてきた。


「ああ。今、俺もケータイで情報見るんだ。便利だしね」


「治登さんは何でも一通り使いこなせるのね?」


「一応な。メカに弱いと、仕事出来ないから」


 治登がそう言い、画面から目を離して、視線を上げる。
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