本当に愛おしい君の唇
「最近、ルーデルはいい調子ですか?」


 と訊いてきた。


「うん、そこそこね。日本の景気は悪いけど、うちは儲かってるよ。外国の商社とも取引があるし」


「そうなんだ……」


 直美が言葉尻に含みを残しながら、手元に置いてあったグラスの水を軽く一口呷る。


 かなり喉が渇いていたらしく、一気にグラス一杯飲んでしまう。


 そして言った。


「あたしたち、上手く付き合えそうですね」


 治登は彼女のその言葉通り、いい付き合いが出来ればいいなと思っていた。


 仮に直美が人妻という身分で、略奪(りゃくだつ)したに等しいとしても……。



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