本当に愛おしい君の唇
第4章
    4
 直美が飲んだ後のグラスの端には、口紅が付いて残っていた。


 少し紫がかっているルージュで、今の若い女性たちが付けるもののようだ。


 彼女は確かに外見は若く、子供を産んだとは思えないほど、体のラインが決まっている。


 それにお洒落だ。


 女性である以上、神経が細かいのだろう。


 治登は直美と向き合いながら、話をする。


「松川さん」


「はい」


「改まった呼び方でいいのかな?」


「じゃあ、直美って呼んで」


「分かった。……直美」


「何?」

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