本当に愛おしい君の唇
「これから俺たち、船出するんだよな?」


「ええ。ちゃんと付き合えてるしね」


「君は俺のこと、どう思う?」


「どうって……普通のオジサンにしか見えないんだけど」


「俺も君が普通の中年女性に見えるけどな」


「そう?」


「うん。……若作りしてるから、実年齢よりはいくらか若く見えるけど」


「ふーん……」


 彼女がテーブルの上に視線を落とす。


 治登はタバコを吸いながら、寛ぎ続けていた。


 直美が、


「あたし、実は全然満たされてないの。性的に」


 と言った。
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