本当に愛おしい君の唇
 治登はさっきまで入れていた暖房を切った。


 もう冬もそろそろ終わりで、しばらくはエアコンが要らなくなりそうだ。


 二月下旬の東京の街は過ごしやすい。


 治登と直美は都内にあるホテルで密会していた。


 密会先のホテルは新宿のど真ん中にある。


 普段からそんなにホテルとしては使わないような場所にセックスをしに行っていたのだ。


 治登には家族があり、直美にも旦那と子供がいた。


 治登の妻の有希は不妊気味で、もうすぐ四十代に入る頃だから、もう出産は無理だろうと思われた。


 それに有希は昼間の時間帯、治登には内緒で浮気していたのだ。


 いつも治登が朝、出勤していくと、有希が一通りメイクをして、財布やケータイなど貴重品を入れたバッグを持ち、外出する。


 治登はその様子を一度見かけていた。


 おまけに浮気調査などをしてもらうと、どうやら有希は出会い系サイトで知り合った、
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