本当に愛おしい君の唇
 これが直美ぐらいの年齢の女性の本音だろう。


 四十前後といえば、女性にとって一番いい時期であるはずなのに、彼女はなぜかしら旦那とのセックスはないようだった。


 仕事から帰れば、穿いていたストッキングを脱いで、上下とも部屋着に着替えてから、バスルームへと直行する。


 子供たちは眠ってしまっていて、旦那の洋介は他の女の家に行っているらしく、部屋には電気が付いてないようだ。


 つまり直美も治登と付き合い始めたことで不倫しようとしているのだが、肝心の夫である洋介も浮気しているようだった。


 夫婦間のセックスが途絶えてしまったのも道理で頷ける。


 治登は料理が届くまでじっと待ち続けていた。


 やがて、それからものの数分で、料理が届けられる。


 二人分の豚肉料理がテーブルに届けられ、飲み物にはワインが用意された。


 ブルゴーニュ産の十年物で、値段はある程度張る。


 だが、普段から儲けている治登にとって、これぐらいの出費は痛くない。

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