本当に愛おしい君の唇
 士気が落ちるからである。


 いずれ部下たちから文句が出るだろう。


「何であんな人がいるんですか?」と。


 それに治登も健全な経営をしていくためには、社内の膿を出し切らないといけないと思っていた。


 だから、古賀原の首を切るつもりでいる。


 治登は元々、古賀原のような人間は課長に相応しくないと思っていた。


 仕事をしないんじゃなくて出来ないからである。


 大体専務や社長などがパソコンを使って仕事をするのに、課長がそういったマシーンを使えないというのが不可思議でならなかった。


 それに治登の中にはルーデルの未来予想図が描けている。


 社を一新する意味で、この不況下でも若くて優秀な人材を入れ、昔の人間たちには残らず辞めてもらうことだった。


 治登は思っていた。

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