本当に愛おしい君の唇
 それが治登には一番堪(こた)えるのだった。


 まあ、別に課長一人が首になろうが、その余波でその家庭が行き詰って一家心中しようが、治登には関係ない。


 単に普段からの行いの悪さが出たというだけで……。
 

 そして治登自身、そういった人間たちには社を去ってもらうのが一番だと思っていた。


 調子のいいことばかり言う無能力者を、治登は誰よりも嫌っている。


 この手の人間が一番始末が悪いなと思っていて……。


 ワイングラスに飲み残していたワインを一口啜ると、眠気が差してきた。


 それと同時に直美を抱き始める。


 脂肪分がたっぷりと付いた体に愛撫を繰り出し、互いにいい雰囲気を作り合いながら……。



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