本当に愛おしい君の唇
 治登は直美としばらく抱き合っていたが、やがてグラスにわずかに残っていたワインを飲み干し、そのまま寝入る。


 スース―という寝息を立てて……。


 治登はいったん午前四時前に目が覚めた。


 着ていたシャツにびっしょりと汗を掻いている。


 それが実は暑さによるものであることが分かり、すぐに着替えのシャツを着た。


 治登が着替えていると、隣で眠っていたはずの直美も起き出し、


「汗掻いたのね?」


 と訊いてくる。


「ああ」


「治登さん、風邪引かないようにして」


「俺はここ数年間風邪引いてないよ」


「そうなの?」


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