本当に愛おしい君の唇
「株式会社ルーデルの小林です」


 と名乗ると、彼女が、


「あ、小林様でございますね。奥へどうぞ」


 と返し、案内してくれた。


 治登はパーティーが開かれ、いろんな社の人間たちが自分に挨拶に来るのを受け答えしながら、直美のことが気になっていたのだ。


“あの子に後で話し掛けてみよう”


 素直にそう思えるぐらい、彼女は容姿が美しくて、おまけに気立てもよさそうだった。


 治登は直美と付き合うことで、何かいいことがあるかもしれないと思っている。


 いつも有希相手に満たされない思いをしているのだから……。


 男性の四十代といえば仕事もセックスもバリバリの現役だからだ。


 昔に比べると、多少勢いは衰えたと言っても……。

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