本当に愛おしい君の唇
 これじゃ完全に給料泥棒じゃないかと。


 古賀原が入信した宗教は、ツーカーで通っている石松という男性社員が勧めたらしい。


 治登は元々宗教などには何の関心もないのだし、返って、部下にそういったまともな頭を使えないろくでもない人間がいるのを嫌がってすらいた。


 どうせ、何もするつもりはないらしい。


 治登が食事を取りに外に出るため、フロアを通る。


 そのとき人事の名簿が見られるかと思ったら、まだだった。


 治登は一階フロアを付き抜け、歩き出す。


 人事の発表は二日後だ。


 東京の街にも随所に桜が咲いている。


 二日後の朝が楽しみだった。


 果たして古賀原はどこに飛ばされるのか……?


 札幌支社辺りが一番いいと思っていた。

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