本当に愛おしい君の唇
「では奥の喫煙席にどうぞ」
 

 治登が頷き、羽織っていたスーツの上着を脱いで、ゆっくりと歩き出す。


「ご注文は?」


「日替わり頼むよ。飲み物はホットコーヒーで」


「少々お待ちくださいませ」


 ウエイトレスが注文品を手元の端末に打ち込み、厨房へと入っていった。


 店自体普通の洋食屋なので、治登はお昼時で混雑するのを避けたかったが、なかなかそうはいかない。


 もろに巻き込まれ、溜まっていた疲れが癒えそうになかった。


 だが、食事前にタバコを一本吸うと、気持ちが落ち着く。


 十五分ほど待つと、さっきのウエイトレスが食事を運んできた。


「どうぞ」


「ああ、すまんね」

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