本当に愛おしい君の唇
「はい」


「俺だ。樺島だ」


「あ、開いてるよ。どうぞ」


 ドアが開き、常務の樺島豪が入ってきた。


 治登は樺島のことを常務と呼ばずに、<豪ちゃん>と呼ぶ。


 創業時以来の仲だ。


 大学では同じゼミにいた。


 ツーカーの仲なのである。


「どうしたの、豪ちゃん?」


「ああ、治登。実はな、古賀原と石松、それに西の三人の処遇が決まったんだよ」


「どうするわけ?あんな役立たずの連中を」


「古賀原は札幌支社、石松は広島支社、そして西には高知支社へと行ってもらうことが決まった」

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