本当に愛おしい君の唇
ジュという人間たちだが――が付くのだ。


 だが、眼前にいるホテルマンは治登にカードキーを手渡し、


「七階の七〇六号室がお部屋となっております。ごゆっくりどうぞ」


 と言って、手元にあるOSの古いパソコンに向かい、夜勤に専念する。


「じゃあ行こうか?」


「ええ」


 二人で並んでエレベーターホールまで歩いていく。


 ものの数メートル前にボックスが停まっていた。


 治登はなぜかしら体調の優(すぐ)れなさを感じ取っている。


 春で気温が変わりやすい分、体調も変化しやすいのだ。


 連日働き詰めだから、こういった恋人同士で送る夜ぐらいはゆっくり過ごしてもいいかなと思っていた。


 そして乗り込んだボックスは上階へと向かう。

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