【短】この猫知りませんか?
その綺麗な声で鳴いてよ
***
「ここ」
「きれーですね」
北島先輩の家は小洒落たかわいらしいアパートだった。
「どうぞ」
「お邪魔します」
ん?玄関に靴が北島先輩がさっきまで履いていたひとつしかない。
「もしかして一人暮しですか?」
「うん。まぁほとんど家出みたいなもんだけど。親は居るよ、ちゃんと」
「そー・・ですか」
北島先輩の家はあまりにもシンプルなもので、無駄なものが何もなかった。
「なんか人にマジマシと自分の部屋見られるのって慣れねぇわ。笑」
そう言いながら台所から二つお洒落なマグカップにお茶をいれて部屋の中央にある小さな机にコトンと置いた。
「お茶しかないけど」
「いただきます」