【短】この猫知りませんか?
「あの、晴美さんのお話し・・・」
「あぁ、ごめんごめんっ」
北島先輩は時間を気にしながらも話し出した。
「本当は晴美、いじめなんか受けても全然ひるまないよう奴なんだよ」
「はい」
「でもアイツ、学校だけじゃなくて家でもひどいことされてたみたいでさ・・・」
「どんなですか?」
「晴美には一個上の姉がいたんだけど、それがすんごい頭いいの。で、それで晴美はほとんど勉強なんかしてなかったから姉と比べられて、教育ママは何回も晴美に変なこと言ってたんだよ」
「悪口とかですか?」
「んー、『お前はなんのために生きてるんだ』とか『何もできない奴は生きてる意味なんてない』とか・・」
「そんな・・・」
そんなの遠回しで『死ね』と言ってるようなものだ。
「・・・家庭でのいじめだな」
そう言い切ると目の前のお茶を一気に飲み干した。