【短】この猫知りませんか?
「唯一、その手がかりになったのが、手首の傷」
「・・・それって、リストカ・・ット・・?」
言葉も出さずに北島先輩は頷いた。
そんなのテレビの世界だけだと思ってた。
「・・・」
私は自分の左手首をじっと見た。
ここにカッターや剃刀を当て・・・引く。
『ニャァー』
アメが私を心配するかのように顔を覗き込んできた。
「見るたび背筋が寒くなる。別に隠すでもなく、だからと言って見せつけるんでもない。だから余計その傷に触れられなかった。」
「そうですね・・・」
私は何度も自分の左手首を右手でゆっくり擦った。