アグリーベティに恋をして
突然隣の西澤悠に声をかけられて、あたしの心臓は跳ね上がる。
「よく言われる。」
あたしは冷静を装ってニッコリ微笑みながら仕方なく彼の方を向いた。
すると突然ヤツはあたしの耳もとに顔を近づけてこう言ったんだ。
「ケバくて最初分かんなかったけど、やっぱアグリーじゃん。久しぶり☆」
「っ!!?」
き、気づかれてるっ!?
し、しかも今なんて言った?
ケバい??
アグリー!!?
やっぱコイツはあたしの天敵だっ!!
不敵に笑う奴にあたしはあ然とする事しか出来なくて。
運が良かったのは、カラオケの音とエイジ君の歌声にヤツの声がかき消されて、あの悪夢のような日のように周りに聞かれることがなかったコト。
でもあたしは固まったまま動けなくて。
コイツは何をみんなの前で言い出すか分からないし。
あの頃の恐怖が蘇ってくる気がした。