アグリーベティに恋をして
「…あたしちょっとトイレ。」
エイジ君の歌が終わってすぐ、あたしは西澤悠の隣から逃げたくて席を立った。
裕子が“え?もう!?”って感じの目をあたしに向けてくる。
確かに合図にしては今日のは早すぎる。
でもあたしに考えてる余裕なんかなくて、早く西澤悠から逃げたかった。
「待って、恋華ちゃん☆オレも一緒に行く♪」
ドアノブに手をかけた時、後ろからエイジ君のそんな声がして、あたしは立ち止まる。
そこでまだこの場にいたそうだった祐子はホッとした顔をした。
「行ってらっしゃい♪」
そう言って、何やら怪しげな笑顔まで浮かべてる。
まぁあたしとエイジ君がいない間に西澤悠と仲良くなろうって魂胆だろう。
祐子の考えを読みながら、あたしはため息をつきながらエイジ君と一緒にドアを出た。