【K.A】Alice in a BoX
「と、とりあえず、この世界のことなら、俺が…教え…うっぷ」

眉間にシワを寄せて、ありすの手のひらでぐったりとしているチェシャ。
少しやり過ぎたかな?と思い、ありすは軽くチェシャの背中をさすった。

「それにしてもさ、この世界って変わってるわね」

ありすは額に汗をうっすらと浮かべながら歩き続けた。

「お城もマッドの家も、ちょうどいい涼しさだったっのに、急に暑くなってきた」

額の汗を軽く拭いながら、ありすが呟くと、チェシャは、あぁ、と口を開いた。

「昔、この辺りには四季ってやつがあったんだが」

言われてありすは頷いた。

「うん、どの季節も、楽しくて私は好きだなぁ」

「そっか。その四季が、喧嘩したんだ」


…またとんでもないこと言い出した。


何も言わずに、ありすはチェシャの次の言葉を待った。

「四季の奴らが、どの季節が一番かって。そのせいで、今は4つの場所それぞれに分かれちゃったんだ」

「…はぁ」

意味が全く理解できない。そう思っていると、チェシャは苦笑しながら続けた。

「とにかく、それぞれの季節を味わいたきゃその季節の場所に行かなくちゃならない。そして、今いるのは夏の季節の場所だ」

チェシャはそう言うと、ありすの手に立ち、進行方向を指差した。

「ほら、もう少しで到着だ」

ちょうど、森の出口らしきものが見えてきた。


あ、なんだろ、緊張してきた。


ありすはドキドキする胸を押さえながら、森を出た。

「ようこそ、ありす。アイランドブルーへ!」


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