【K.A】Alice in a BoX
「何やってんだてめー!」

バリン、と大きな音を立てて、すぐ後ろにあった窓ガラスが割れた。

びっくりしてバランスを崩すありすを、ラビーが支える。

「…家の出入りは、ドアからするようにと、何度言えば理解するんだ」

ため息混じりに、心底嫌そうに声の主を見た。

「アリスが目覚めたらみなに知らせるってことになってただろうが!」

「わっ!」

突然、ぐいっと後ろから抱き寄せられる。ゆっくりと視線を声の主の方へと移す。


…ま……また、ウサギ耳。


くらっと目がくらんだ気がした。


なんなの、一体。
ここ、どこなのよ。


かすかに覚えている記憶といえば、父親が妙な実験薬を、食事に混ぜてしまったため、長い間眠ってしまっていたらしいということくらい。
自分の今居る場所は、正直、記憶にはないし、自分が一体、どれくらいの間眠ってしまっていたのか、目の前のウサギ耳をつけた人物を見ていると考えるのが怖くなった。

「とにかく、アリスは俺のものって決まってんだ。お前はとっととアリスが目覚めたことを知らせに行ってこいよ」

「起きたまま寝言を言うとは、ある意味、凄いな。だけど、アリスは僕のお嫁さんになるんだ。君が皆に知らせに行けばいいだろう」

バチバチっと目の前で火花が散る。
話の内容からいくと、どうやら自分をめぐって、言い争いになっているようだ。



わー、嬉しい。


………………………


なんて…………


「思えるかぁー!」


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