【K.A】Alice in a BoX
叫ぶありすに2人は驚き、言い争いを止める。

「さっきから黙って聞いてれば。私はあんたたちのことなんて知らないのに、なに勝手なこと言い合ってくれてんのよ!大体ね、あんた達何者?私の知ってる限り、頭からウサギ耳をはやした人種なんて見た事ないわよ!?」

一気に言いきると、ぜぇぜぇと荒い息を深呼吸で整えながら、ありすはキッと2人を睨み付けた。

「ア…アリス?」

「何で私の名前知ってるのよ」

そう。目覚めたときから、ラビーは私の名前を知っていた。
そして、黒いウサギ耳をへにゃっとたらしたもう一人の男も、私の名前を知っていた。

「私は、こんな世界知らないし、見たことも、聞いたこともない。そりゃ…童話やとぎばなしではそれっぽい話を聞いたことはあるけど…」

だけどそれは、作り話の世界。現実に、そんな世界があるはずなんてない。

そう思っていたら、2人は顔を見合わせて首を傾げる。ラビーがありすをじっと見つめながら、不思議そうに口を開いた。

「なぜって…それは君が、最後のアリスだからだよ」

「…は?」

ラビーの言っている意味がわからず、思わず気の抜けた声が出た。

「君は、この世界の中心とされる場所で、ずっと昔から眠り続けていたんだ。アリスは希望なんだって、小さい頃からいい聞かされてきた。むしろ、君の事を知らないやつなんていないと思うよ」

その言葉に絶句する。


最後のアリス?
アリスは希望?


「ぜんっぜん、意味がわかんないんだけど」

顔を引きつらせながら答えると、黒耳がぽんっと肩を叩いてきた。

「別に、わかる必要はねーって。ただ、俺と結婚すれば」

言いかけたところで、ガツっと何かが刺さる音がした。

「アリスは僕のものだと、何度言えばわかるんだ」

にっこりと、それでいて冷ややかな笑顔を浮かべたラビー。手には銀のナイフを数本持っている。


こ…怖っ……


その表情に、思わず背筋が凍った。

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