【K.A】Alice in a BoX
そこから一気に戦況は一変した。
ハートの女王の顔からは笑みが消え、真剣な眼差しに変わる。
私も、女王の手を聞くたびに、ページをめくって、記載されている通りに駒を動かす。

「d3、ビショップ!これでチェックメイトだよね!?」

ハートの女王のクイーンの駒が、動けなくなり、そのまま駒が固まった。

「ハートの女王!約束どおり、除草薬をちょうだい!」

ありすが言うと、ハートの女王は高らかに笑い出した。

「さすがはアリス。最後の希望。約束どおり。薬をやろう」

そう言うと、ハートの女王はパチンと指を鳴らした。
すると、突然、ありすのエプロンのポケットが膨らんだ。

「さて、アリス。今日はとても楽しかったぞ。また、必ず遊びに来い。よいな?」

にやりと笑うハートの女王に、ありすは何故か寒気を感じた。

「あはは…時間があれば」

苦笑いしながら、ありすはその場を急いで立ち去った。

< 76 / 88 >

この作品をシェア

pagetop