【K.A】Alice in a BoX
家の周りには、小さな草花たちが咲き誇っていた。ぽかぽかとした陽気に、ありすは思いっきり背伸びをする。

「んー!気持ちいい」

体がだいぶ、思ったように動くようになってきた。軽く、何度か手を握ったり開いたりしてみる。

「それにしても、これからどうしたらいいんだろ」

ふう、と小さくため息をつきながら、辺りを見回してみる。

少し遠くに、小さく建物が見えた。

「…あれ、なんだろ」


自転車かなんかあれば、いけない距離じゃないよね。きっと。


そう思ったとき、ふと、家の壁に自転車が立て掛けてあるのが目に入った。

「あっ…自転車」

近づいてみると、鍵はなく、ちゃんと乗ることができそうだった。

「ラビーたちのかな」

そっと窓があったところから中をのぞいてみる。

が。

「…まだやってる」

さっきの食器合戦はまだ続いていた。

「これ、借りるねー」

そうささやくと、ありすは気づかれないようにこそっと自転車に乗って、丘から見えていた建物へと目指した。
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