まっすぐに。
指先
冷たい色のない部屋で、あなただけがあたたかった。
硬い身体。
あなたの鎖骨と肩の間のくぼみが、ちょうどいい。
私の頭がすっぽり収まって、居心地がいい。
「のぶちゃん…」
聞こえないだろうなって思うくらい、小さな声で口に出してみた。
のぶちゃんは、私を抱き寄せ、指をからませて返事をした。
もう、何時間も薄い毛布にくるまっていただけだったから、私の体は冷たくなっていた。
抱き寄せられ、あなたの体温を分けてもらって、少しずつ自分の体が温かくなるのを幸せに思った。
幸せに思うよ。
今だけは。
何も考えたくなくて、今を心から大事にしたくて、私はのぶちゃんに覆いかぶさってキスをした。
のぶちゃんと目が合って、いつもの優しい見守るような三日月型の目が見えた。
ずるいんだ。
私より3つ年下なのに、何か見透かされてる気がする。
恥ずかしくなって、のぶちゃんの胸に埋もれた。
「よしよし」
そう言って、私の頭を撫でてくれる。
指で、丁寧に髪の毛をとかしてくれる。
のぶちゃん、私ね、
この指が好きなんだ。