まっすぐに。
朝日をあびて、途中で買った缶コーヒーを飲みながら、「寒いね」って、のぶちゃんの指に触れる。
絡ませてきたのぶちゃんの指が愛しくて、つないだ手にキスをした。
今だけなんだもん。
こんなカップルごっこするのも許してね。
誰に言い聞かせてるのか分からないけど、ぼーっとそんなことを考えていた。
もう時間切れ。
さぁ、戻らなきゃ。
愛しい愛しい、たまにお兄さん、たまに子供の彼に手を振った。
のぶちゃんの車が、見えなくなっても、まだ見える気がして立っていた。
のぶちゃん、またね。
振り返ったら、私は元の生活に戻らなきゃいけないから、なかなか振り向けなかった。
自分の指先を見つめた。
なんだか、まだあったかくて少し元気が出た。
まぶしい、真っ青な空を見上げて、大きく深呼吸をした。
その勢いで、くるっと方向転換して、足を進めた。
ゆっくりと。
なーんだ。
結構簡単だ。
思いの外、冷静な私がいた。
さぁ、おうちへ帰ろう。
かわいい我が子と、名前だけの旦那さまのもとへ。