もしも未来を想えたら
★2
「ねえ・・・かおりがリストカットしてたって聞いた?」

 そういうことが広まるのは、時間の問題だった。
 予定の集合時間まで、あと1時間半。
 

 でも、かおりの噂が3年生全員に広まるのに、そこまで時間は要されなかった。


 もちろん、真里菜の耳にも。
 そして、健悟や紗那の耳にも入る。


 いや、もう入ってるかもしれないな・・・
 きっとメールか何かで、もう伝わってるんじゃないかな・・・・。


 かおりは目を閉じた。
 なにもかも忘れたくて。
 なにもかも思い出したくなくて。
 なにもかも考えたくなくて。

 この時ばかりは、時間が元に戻ればいいって、そう、確かに思った。
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