もしも未来を想えたら
お父さんが病室に来るまでそんなに時間は長くなかった。
 30分・・・いや、20分弱だったかもしれない。



 「気分はどうだ、かおり」
 入ってきて父はそう言った。

 答えるわけないじゃん?


 父はそれをわかっていつも私に問うてくる。そんなに知りたいだろうか、大して家の中でも必要とされていない人間の事を。


 と、かおりはいつも思う。



 「ここでしばらくゆっくり休みなさい」

 父はそう言って、ベッドの隣にあった椅子に腰かけた。

 「あと・・・これからどうするかは自分で考えなさい。お父さんは大して何もできないよ」


わかってるよ・
皆の前で手首を切った時点で、それくらい承知してるよ・・・。
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