UP TO YOU!!


「あれ、誰かいるぞ」

途中にラーメン屋に寄って夕飯を奢ってもらい、満腹状態で睡魔と闘っていると、運転席から肩をたたかれた。

家の前は見通しの良い直線で、家まではまだ30メートルくらいあったが、誰かがいるのが確かに分かった。
近づいていくうちに、だんだん見覚えのある影になっていく。

・・・麻美?

「桜井さん、俺ここでいい!」

「あ、おい」


家の10メートルくらい手前で、俺は車を飛び降りる。

急いで走っていくと、そこには思った通り、麻美だ。


「麻美・・」

「あっ陽平、ごめん何回も電話したんだけど・・」

言われて、携帯をマナーモードにしっぱなしだったことに気づく。
ポケットから取り出して確認すると、着信が3件とメールが1件。
1番早い着信は、20時ちょっと過ぎ。
今の時刻は、22時。

「・・何時からいたの?」

「えと・・ちょっと前かな?20分くらい前!」

「嘘つかなくていいから」

「ごめん・・」

「いや、俺こそごめん。
・・あがる?」


麻美は、俯いていた顔をパアっと明るくさせて頷いた。

京太のバイクはまだない。
打ち上げでもしているんだろう。
まったく、将来有望のニート組はお気楽で羨ましい。


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