UP TO YOU!!
ときどき、京太を見ていて、自分は本当にこの顔と同じなのかと思う。
京太は、万能だ。
ドラムもうまいし、作曲もできる。
かと言って、運動音痴なのかと聞かれると、そうではない。
むしろ得意なほうだろう。
勉強だって、やればできるし、性格だって明るく、人当たりもいい。
一方俺はというと、至って普通の高校生。
ドラムはできないし、そうかと言ってギターやベースができるわけではない。
もちろん、歌も歌えない。
運動も人並み、勉強も人並み。
性格だって、暗くはないけど明るいわけではない。
人からは無愛想だと言われるし、麻美のことも分かってやれない。
別に、神様は不公平だとか、なんで京太ばっかりとか、そんなことは思わない。
だけど、ときどき本当に不思議になるんだ。
同じ顔で育ってきたのに、こんなにも違うのかと。
「なあ、俺らって同じ顔?」
「はい~?今更何言っちゃってんの?」
京太は、箸を両手に1本ずつ持って、汁の器でリズムを刻む。
いつでもどこでも、リズムを取るのはコイツの癖だ。
「なんかさ~不思議だよな~と思って」
「今に始まった話じゃねーだろ。
俺が不思議なのは、同じ顔なのに、なんで麻美ちゃんはお前なのかってことだけだよ」
こいつ、本当に麻美の話好きだな。
「たまたまだろ。たまたま俺が先に知り合っただけ」
「いや~、あ~、まあそっか。
俺、お前に負ける気しねえし」
「うん。」
最後の一口を、すすりながら答えると、京太はリズムを刻む手を止めて、こちらを見た。
じっと見られると、また同じ顔なのかという疑問を浮かべてしまう。