UP TO YOU!!
「お前、麻美に惚れたわけ?」
冷蔵庫の中の麦茶をコップに注ぎながら、少し笑いを含めて尋ねると
「んなわけねえだろ」と、コップを突き出された。
俺は、そのコップにも麦茶を注ぐ。
双子だと感じるときは、こういうときだ。
俺には京太の本心がなんとなく分かってしまう。
たとえば、今、麻美に惚れているのか、それともそうじゃないのか、とか。
とりあえず、今は、麻美のことが好きで言ってるわけじゃないみたいだ。
「じゃあ、なに?」
「俺は・・・可哀相だと思って!
麻美ちゃんも、お前も。」
「なんでだよ」
「だって、見てりゃ分かるよ。
お前が麻美ちゃんのこと、好きじゃないって。」
「それはお前が、俺の片割れだからだよ。
周りから見れば、普通のカップルだ」
麻美は気づいているけど、という言葉は飲み込む。
麻美のこと、嫌いなわけじゃない。
好きだと聞かれたら、好きだと答える。
けれど、もし終わりだと言われたら、終わらせてしまうだろう。
麻美が終わりだと言わないから、続いている。
ただ、それだけ。
その考えが、京太には理解できないのだろう。
当たり前だ、俺にも理解できないのだから。