両手いっぱいに溢るる涙
「ただいまぁ~」
「おかえりぃ~」
リビングから声が聞こえた。
鞄を自室に置いて、手洗いうがいをして、リビングに向かった。
そこには・・・・・・
狭いリビングに母と中学一年のただいま成長期中☆な弟が横に寝転んでいた。
まるで、トドのようだ。
足場がほとんどない。
「ご飯は?」
と母の折笠 都(おりかさ みやこ)は尋ねた。
「今日は、食べてないけど・・・・・」
「ほんなら、冷蔵庫にサラダと鯖あるから、あとはご飯よそって、味噌汁温めて食べて」
そう言うと、都はテレビに再び視線を戻した。
都と弟の竜は、ドラマを見るのが好きだ。
ちなみに葉織は、あんまり見ない。
特に弟は、最終回になると録画して、ビデオを見まくるという悪い癖がついている程だ。