猫になった僕
でも、マリさんはやっぱり僕に気づかない。
僕のお気に入りの場所にいる銀色の僕の足に乗った僕と楽しそうにおしゃべりしている。

僕はいったい、何がどうなっているのかさっぱりわからなくなってしまった。

僕は、いつものようにあおぞらの食堂にいて
いつものようにお気に入りの場所でお茶を飲んでいる。

でもそれを見ている僕も僕で

猫になった僕には

銀色の足に乗った僕は見えるけど

銀色の足に乗った僕やマリお姉さんには、

猫になった僕は見えない。

これは夢なの、ホントのことなの。

僕はいるの?

僕はいなくなっちゃったの?

お昼寝の前までいた僕は?

銀色の足に乗ってあおぞらの中を走り回ってた僕は?
僕は僕じゃなくなっちゃったの?
僕がいた場所にいる僕は誰なの?
僕なの?

ちがう僕が僕だ!

じゃあ僕がいた場所に、いるのは誰なの?
僕がいた場所には、今、誰がいるの?

銀色猫になった僕は誰なの?
  

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