猫になった僕
って急に男の人の声が頭の中で聞こえた。
びくりして、誰なのって聞けない僕の頭の中で、
「泣かなくてもいいよ。、もう少したったら君のそばに行くから。」 
って、また同じ声がした。
 僕は一生懸命あたりを見回した。
 それから、
「だれなの?」
「僕のことが見えるの?」
「僕の声が聞こえるの?」
「どこにいるの?」
 僕はさっき泣いてた時よりも、もっと大きな声で、そう言った。
でも返事の声は、聞こえてこない。
僕は「泣かなくても大丈夫だよ」って言ってくれた人を一生懸命さがした。
 食堂中を歩き回った。 ☆
テーブルの上に登って、お茶を飲んでるみんなの顔の前をわざと歩いたりした。
食堂のピアノのところでわあわあ、さわいでみた。
あおぞらのみんなや、お兄さん、お姉さんの頭の上をぴょんぴょん跳ねて渡ったりもした。
 だけどやっぱり誰も僕に気づいてくれない。

 でも絶対にいるんだ。
僕のことが見えて、
僕の声が聞こえる人が。

だって僕が泣いているってわかるって事は、その人には僕のことが見えてて、声だってちゃんと聞こえてるんだもんね。

 僕は食堂を出て、あおぞらの中を探検してみることにした。
僕のことが見えて、僕の声が聞こえる人をさがすんだ。
 その人なら、きっと僕がどうなっちゃったのか、知ってるはずだよ。

< 19 / 39 >

この作品をシェア

pagetop