猫になった僕
三毛猫さんは僕のことを珍しいなんて言ってしげしげと僕を眺めてる。
僕はもう何がなんだかわからなかったけど、一生懸命三毛猫さんに聞いた。

「三毛猫さん、いったい僕の何が珍しいの。」

「ヒロ君、いろいろ心配なのはよくわかるけど、まずは今の自分の、周りを良く見ることだよ。」

「何かわからないことが起きると、とても心配になるけど、そんな時はまず自分の周りの近い所から良く見ていくんだよ。」

「自分の周りのこともわからないのに他の事なんてわかるようになるわけないだろう。」 

そう言われて僕は会議のお部屋をゆっくりと見回した。

「いっぱい猫さんがいるよ。この猫さん達はどうしたの。」

猫さんがいっぱいいるって事は、会議のお部屋に入ってきた時にわかってたことだけど、その時の僕にはそんなことどうだって良かったんだ。
だけど考えてみたら不思議だ。
会議のお部屋には前にも何度か来たことがあるけど、一度だって猫さんがいたことなんてない。

「そうそう、その調子。」

猫さんは優しく僕にそう言ったあと。

「この猫たちはね、みんな僕らの仲間だよ。」

って言った。

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