猫になった僕
そうか夢を見ているんだ。

今日の夢はきれいな銀色の猫になった夢。                             僕は、ゆっくりと猫になった僕の体を見回してみた。

 銀色でやわらかい体にながーいしっぽの猫。

ピンと張ったヒゲをピクピク動かしてみた。 

銀色の手で顔を洗ってみた。

ながーいしっぽをパタパタ動かしてみた。

 どこもかしこもちゃんと僕の言うとおりに動くよ。

僕はすっかり猫になった僕を気に入ってしまった。

 ながーいしっぽをパタパタするのがおもしろい。

猫ってこんな風にながーいしっぽを振ってたんだ。

なんだかおかしくなってきた。

 おすまし顔の猫。

きみはいつもこんな風にながーいしっぽを
振ってたんだね。

 そんなこと考えて、いつか見た猫のみたいにしっぽを振ってたら、パタパタと音がして銀色の耳がピクッって動いた。

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