キミとボク。
開け放した窓から入り込む風はさらさら、と郁弥の髪を揺らした。

綺麗な赤茶に染められた髪は、陽に溶かすと、金にも見えた。

郁弥はセミロングの髪に手櫛をかけ、頬杖をついた。
瞬きする度に瞳を縁取る長い睫毛が揺れる。
一見、物思いにふける普通の女の子に見えるが、いつも憂鬱そうに伏せられた目と無表情な口元のせいで、近寄りがたいオーラを纏っていた。

翔にとって、郁弥は初めて見るタイプの人間だった。
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