LASTLOVE
夕日が海に反射し、一面が朱に染まっていた。
あたしと政樹は崖に到達する途中で、ボーッと眺めていた。

「キレイだけど、この景色を見られるまで、あと僅かなんだね…。」

「帰ったら、何したい?」
「お風呂入って、おいしいもの食べて、テレビ見て、当たり前のことしたい。」
「そうだな。」

「もし、この島が崩壊して、あたし達脱出出来なかったら…」

「現実味を帯びてきたよな…だけど今は考えないようにしよう。」

「無理。親にも何も言わないままなんて…」

あたしは思わず泣き出した。急に恐怖心が現れた。実際には、ずっとあたしの中にあったけど、信じたくなかったんだ。
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