LASTLOVE
奈緒がまるで映画のワンシーンかのように演技をしながら話した。

「あたし達は木々の向こうに太古の遺跡を見つけたの。太古の遺跡かはわからないけどね。まぁとにかくそこには、たくさんの朱い遺跡があったの。あたし達はヒントを捜した…そしたら滝の裏からリングが…」

「リング?」

奈緒は春の言葉を気にせず話を続けていたが、春はあたし達の方を向くと聞いてきた。

「リングって…?」

「あ…箱を砂地に置いて来ちゃった…」

あたしが立ち上がろうとすると、政樹があたしの頭をポンとたたくと急ぎ足で取りに行ってくれた。
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