Happily
「夏海ちゃんにはいつも"マスター"って呼ばれてるから変な感じかな」
「そうですね、いつもマスターって呼んでるから名前で呼ぶこと無いですもんね」
「じゃ、他にお客さんも居ないし自己紹介でもするか」
マスターが高遠さんと私を見て笑いかける。
「あ、じゃ、私から。草間夏海です。趣味は……リョウリデス」
趣味を言えばマスターが吹き出した。…失礼な
「まぁ、あくまで趣味だもんな。んじゃ、次俺ね。高遠蜜夜でここのマスターさせてもらってます。趣味は…まぁ、悪戯」
ニヤリと笑うマスターに私は苦笑いし、高遠…孝也さんは冷や汗をかいてる。
「蜜兄の言う悪戯はいろんな意味で悪戯の限度超えてるよ。マジシャレになんねぇ…」
「褒め言葉どうも。ほらさっさと自己紹介しやがれ」
「あ、あぁー…高遠孝也。仕事は設計関係。」
嫌がってる割にマスターに懐いてる孝也さんはちょっと可愛いと思う。
「2人とも苗字が高遠ですよね。マスターはマスターって呼び続けるつもりなので、孝也さんは高遠さんってお呼びした方が良いですか」
「え、俺のことはずっとマスターなの」
「はい、そこは譲れません」
にこりと笑って言えばマスターは苦笑いし、高遠さん…孝也さん?は少し安心した顔をしてる。
「それで、どっちでお呼びしたら良いですか?」
「好きに呼べば…」
「孝也だよ、孝也!しかも"さん"なんか付けなくて良いから」
マスターが楽しそうに言い切った。
「え、それはちょっと…」
「蜜兄はマジ黙れ」
「なんだよ、応援してやってんだろ」
「応援?」
何の応援って聞きなおそうとしたら急に孝也さんが大声を出したのでビックリして振り返ると、孝也さんの顔はまさに茹蛸状態。