生きて。笑いたい。
言い返したいけど、何も言えない。
何を言ったらいいのか分かんないし…。そもそも声が出ない。
「…………」
「…そんなにシカトしてほしいんならしてあげるわよ!……ほら、陸もこんな奴ほっときなよ!早く着替えなきゃ遅刻しちゃうよ!?」
何も言わないあたしに呆れた女子二人は、吉濱に急かすように問いかけた。
けど、吉濱は動こうとしない。
女子達の言葉に返事もしないで。ずっとずっと、あたしを見つめていた。
「ちょっと…。陸!?」
「…………朝も。」
「え?」
「朝も、お前黙ってたよな?…その後に体調が悪くなってうずくまってた。」
女子の事を無視して吉濱が言った言葉に 、あたしはギクリとした。
だってあたし…発作が起きると話さ無くなるから。
声を出せば出すほど、呼吸をしなきゃならない。
その分胸が痛いから…
だから、あたしは喋んない。
……というか、喋れないだけなんだけど。
それくらいに、痛むから…。
なのにさっき大声を出しちゃったから、余計痛い。
もう足が震えて。立っていたくない。
「神田、お前大丈夫なのかよ?顔色悪いぞ?」
そう言って、朝と同じように両手であたしの頬を包む。
暖かい手のひらが、あたしの心に触れたと思った。
冷たいあたしを、一瞬だけ熱くしてくれたと思った。