生きて。笑いたい。







………前の俺は…








色んな思い出を、忘れていたんだな…







「……この時。俺は初めて自分の病気を他人に教えた………。」



「……陸……お前…。」







直人が。ちょっと震えた声で喋る








今まで。ごめんな?直人…………














「…………俺は。木村正樹だ…。」














そう言った途端。直人は涙を流した。






「…………っ正樹…!」



「何泣いてんだよ………」




「っ正樹…正樹……!…」









何度も何度も。俺の名前を呼んでくる。





ずっと…、ごめんな……?…直人…









俺を『正樹』って、




………呼びたくたって…、呼べなかったんだよな……。









「ホントに…。正樹なのか……?…」




「あぁ…」





「本物の、正樹か……?…」




「そうだって。………俺は正樹だ。」





「……………っ…。」







声を押し殺して、泣きながらも俺の事を見てる。








「…………正樹だっ…!」




「うん。」





「っ会いたかった…。」








小1の時から、ずっと一緒に居た直人…。







沢山の大切な思い出を、



友姫との記憶と一緒に俺は失っていた…………






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