生きて。笑いたい。










それからずっと、神田なんて無視してた。








あんな奴、居なくたって何も変わりやしねぇ











でも、冬になったある日。神田が陸に大声を上げていた










クラスの真ん中で。おまけに泣いていた。
















「なぁ、…さっきの凄かったな………」



「神田友姫が泣いたとこ初めて見た………」













この日の男子達の話題は。全て神田が泣いたことだった。















…………アイツも、泣いたりするんだな。














…………別にどうでも良かったけど。








その日、


俺の頭の中は神田の泣き顔で一杯だった。



















…気にしてなんかねぇ。












ただうかつにもアイツを。







『綺麗だ』と思っちまっただけだ。

















「…………チッ………」
















誰にも言えねぇ………








あの時、胸が熱くなったなんて、





















俺は、あの時。



自分が自分じゃ無くなってた…………

















…本当は弱かったアイツを。


















とにかく抱き締めたくなっただなんて。俺らしくもねぇ。










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