生きて。笑いたい。


いてもたってもいられなかった。








必死になって歯噛み締めて。泣かないように堪えて。














何でこんなことやってるのか分かんないのに









俺はとにかく必死だった






「……なおと…?……」







「……………………」








正樹が、黙り込んだ俺を不思議そうに見てくる











………そんな目で見るな













何にも染まってない真っ黒な目






「お前には…………かなわねぇよ」









「……………は…?…」



















神田の黒い目を好きになった。








正樹と似てるあの黒い目が。














けど、中身は俺にそっくりだった。













考えも、世界観も、
















俺と神田は同じだった。








だから俺は惹かれていった。


























けど、神田が俺に振り向いてくれるなんて



どうしても思えねぇ









「…………そりゃ、好きになるよな……」







「直人?…何言ってんだ?」









俺と神田は似てるんだ















ガキみたいに泣けないし。








素直な訳でもなく



何かとひねくれてるんだ。

















だから。俺と神田は正樹を好きになる









自分とは違う正樹に、どうしようもなく惹かれてしまう




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