生きて。笑いたい。







「…………。」




陸と呼ぶ訳にはいかなかった。




別に意識してるって訳じゃない。





ただ、馴れ馴れしくしないために置く一線だ




仲良くなんてなったら、あたしが困る。




「おーい?」


「…………。」


「神田~?」





何の反応も示さずに俯いてるあたしの顔を、吉濱は除き込んでくる。





間近にきた瞳と目があって、あたしは咄嗟に顔を剃らした。



「…なぁ神田。」


「…………」


「もしかして。…泣いてた?」



「…………え?」




どうしてそんな事を言うんだろう。



確かにさっき泣きそうになってたけど。ギリギリで我慢したから流れてた筈ないのに…





あたしが不思議な目で吉濱を見ると、目があった吉濱は一瞬驚いた顔をした。




そしてスッと真剣な表情になり、あたしの両頬に両手を添えてきた。




突然の行動に戸惑うあたし。




でも、出来るだけ平然を装った。




「…………なに?」

「…………泣いてる。」


「……え?」




そう言われて初めて気が付いた。



あたしの頬は、涙によって濡れていたんだ。





『死ぬ』って事に気を取られすぎて、


風の冷たさが感じなくなっただけじゃなく、涙の熱さと感触 、泣いたって事にも気付かないでいたんだ。








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