生きて。笑いたい。
「………………。」


あたしはギュッと拳を握った。


……恐怖心がどんどん出てくる、



だからそれを握り潰すために。自分の手の力を強くした。



大丈夫……大丈夫……。


『どいて』って言えばいいんだ。


何か言われても、適当に受け流せばいいんだ。





けど、


…怖い。




「はっ……いつまで立ってんだよ。」


「何!?自分の席分かんない!?コレだよコレっ!早く座れよ!!」



……もしも、どいてくれなかったらどうしよう



すれ違う時に肩ぶつかったり、悪口言われたらどうしよう……


…情けない……


こんな事でびびってどうすんの……!?


早く行かなきゃ。



……行かなきゃ。


言わなきゃ……!。


「……ぁ……!っ……」


「は?」



言わなきゃ、言わなきゃ、言わなきゃ……!



強くならなきゃいけないの…!!


あたしはゆっくりと自分の席へ向かう。


「…………っどいてよ」

「何で?」

「あたし座れないんだけど。」

「座んなくてもいいじゃん。」



ほら、やっぱりこうなった。


…………でも、こうなったのは全部あたしのせいだ。



…………あたしは、皆が好きです。


好きで、好きで、大好きだから。


だから。吉濱の時と同じくらい胸が痛む。




皆が苦しむのが、嫌だ。


自分が辛くなるのも、…嫌だ…………。

二つに1つしか。選択肢はない。




……ならば、あたしは自分を辛くします。


辛さなんて感じないほど。強くなります。



「邪魔。早くどいて。」

「なっ……!!何よアンタ…!…」

「…聞こえなかった?邪魔。」

「…………っ!!」


コレで。いいんだろう…………


…もっと。嫌って下さい


もう、独りにしてください。







   それが、あたしなりの皆への想いです……
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