生きて。笑いたい。







自分の席でほっとしていると、隣の方から視線を感じた。



窓際の一番後ろ、一番の席に座っているのは、もちろん人気者の吉濱。






その吉濱が、ジッとあたしの事を見ていた。






「あ…………」




つい声が出てしまった。






だって、吉濱は誰にも言ってなかったから。



あたしが教室に入ってきた時、何も違和感は無かった。



普通。知ってたらザワザワうるさくなるはずなのに。皆寝坊だと思っていた。






「…………。」






嬉しかった。







吉濱の優しさが、気遣いが、





素直に、嬉しかった。








あたしはありがとうのかわりに、彼に微笑んだ。




すると彼は凄く驚いて…。





「ガタッ!!!」




え…………?!





「おい!陸!何急に立ち上がってんだよ!!」


「つーか顔赤!!」






何してんのアイツ…。




いきなり立ち上がったから超びっくりした…。






「な、何でもねぇし!夢!夢見てた!」

「朝っぱらから寝てんなよ!!」





吉濱は男子にケラケラからかわれてる。




あーあ、



マジで何してんだか……







あたしはめんどくさくなって、吉濱から目を剃らした。








…………教室で笑ったのなんか久しぶりだった。






あんまり人を寄せ付けないように今まで笑わないできたから。





もしや、初めてだったかも……?







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